藤沢周平作品は、単行本が刊行された後、原則としてそのままの作品が文庫化されていますが、例外があります。1979年2月15日発行(第一刷)された講談社文庫『雪明かり』は、幾つかの単行本から選んだ作品が、一冊の文庫本となっております。したがって単行本としての『雪明かり』はありません。『雪明かり』に編纂されている8作品は、その後単行本からそのまま文庫化されています。中にはかなり時間が経過してから文庫化された本もあります。よって文庫だけでみると8作品は重複しています。
文庫本『雪明かり』は『暗殺の年輪』に次いで古い文庫で、藤沢周平作品の人気を一気に高めた本と言われています。76年迄に8作品は複数の単行本に分散され出版されましたが、当時あまり売れず、藤沢作品の文庫化が停滞していたようです。この様な時期に、作品の質の高さに注目し文庫本を編纂された講談社の慧眼に、一ファンとして敬意を表します。表題に「雪明かり」を取り上げたのも流石であると納得しています。尚本書に編纂されている作品は、全て講談社の小説現代に掲載されたもので、講談社が直接文庫本として編纂されたものです。(版権の問題が無かったのでしょう?)
藤沢周平作品の中でも人気のある文庫本ですので、かなり販売され重版している文庫本ですから検索ページを用意しました。無駄な買い物をしたと思わず、直接文庫本で出版を試みた編集者の心意気・・・そんな感じで読まれてはいかがでしょうか。
尚単独作品としての『雪明かり』は新潮文庫『時雨のあと』に編纂されています。
これら8作品は、以下の単行本・文庫本にそれぞれ編纂されています。必要に応じて作品内容を参照してください。作品名欄をクリックすると表示されます。
作 品 名 |
初 出 |
単 行 本 |
文 庫 本 |
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発表年 | 書籍 | 出版年 | 表題 | 出版社 | 出版年 | 表題 | 文庫名 | |
恐 喝 | 73年 | 別冊小説現代 | 74年 | 又蔵の火 | 文藝春秋 | 84年 | 又蔵の火 | 文春文庫 |
入 墨 | 74年 | 小説現代 | 74年 | 闇の梯子 | 文藝春秋 | 87年 | 闇の梯子 | 文春文庫 |
遠方より来る | 76年 | 小説現代 | 76年 | 竹光始末 | 立風書房 | 81年 | 竹光始末 | 新潮文庫 |
雪明かり | 76年 | 小説現代 | 76年 | 時雨のあと | 立風書房 | 81年 | 時雨のあと | 新潮文庫 |
潮田伝五郎置文 | 74年 | 小説現代 | 76年 | 冤罪 | 青樹社 | 82年 | 冤罪 | 新潮文庫 |
冤 罪 | 75年 | 小説現代 | 76年 | 冤罪 | 青樹社 | 82年 | 冤罪 | 新潮文庫 |
穴 熊 | 75年 | 小説現代 | 76年 | 暁のひかり | 光風社 | 86年 | 暁のひかり | 文春文庫 |
暁のひかり | 75年 | 小説現代 | 76年 | 暁のひかり | 光風社 | 86年 | 暁のひかり | 文春文庫 |