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「庄内散歩」ぶらぶら記


 2007年9月下旬、何回目になるだろうか。庄内の空気を吸いたくなって熱烈な藤沢ファンの友人と二人、初秋の鶴岡を訪ねた。庄内平野一面に広がる黄金色の田圃は、半分ほどが刈り取られずに残っていたが、何故か刈り取り作業をしている人影が全く無い。最近はサラリーマン同様、農作業も週末はお休みなのかなぁ・・・そんなことを思いながら庄内空港からバスで市内に入った。特に見学したい所があるわけではないので、「鶴岡に関する古い書物」や「庄内散歩」「やまがた散歩」の情報でも得られたらよいなぁ、そんなことが頭の隅にあった。

 翌日、古本屋さんがあるか、町の方に聞いてみたが、どうも無さそうである。(実際にはその後の訪鶴で「阿部書店」という素晴らしい?古本屋の存在を知り、何点か古書を求めた・・・かなり凝った本屋さんである)

その時友人と二人、「ふっと」思ったのが図書館である。早速図書館を地図で探そうと・・・なんと目の前が図書館ではないか。我々二人は何回目かの「菅家庭園」を訪問し、その足で単純に「大山街道」に出てきたところであったのだ。早速目の前の鶴岡市立図書館に入館し、二階の資料室に行き「庄内散歩」・「やまがた散歩」が蔵書(資料)として在るか尋ねたところ、「庄内散歩」は存在するという。直ちに閲覧の申請をして手に取ることが出来た。専用ファイル8冊にファイルされた全80号である。既にご存知の方も多くおられるであろうが、私にとって(友人も)初めて目にする冊子である。以下はその概要と藤沢作品との関連である。

 「庄内散歩」は東北出版企画社(田村茂広氏・・編集)の小冊子で、1974年4月を創刊号とし、1980年12月(第80号)で停刊となった、全80冊A5サイズ?の月刊誌である。地元の記事を中心に、多くの写真が挿入された美しい、今風に言えばビジュアル誌で、相当コストが掛かったと想像される小冊子であった。本来ならば上記期間を計算すれば81冊になるのであるが、最終号は80年11・12が併合して1冊に編集されていた。図書館の学芸員?のお話によれば、「財政的にはいつも苦戦をされていたようです」と親しみを込めて笑って話してくれました。

 この中で藤沢周平は、「創刊号」に寄稿されてた作品を含め、3作品を寄稿していました。

発行年月 号 番 号 作 品 名 コ メ ン ト
1974年 2月 創刊号(1) 寒かった朝 エッセイ  帰省
1976年 1月 22 善宝寺物語 エッセイ  帰省
1976年 2月 23 私と庄内の温泉 刊行本なし

 どのくらい寄稿しておられるのか、全80冊を調べましたが、3作品のみとは意外でした。同時にかつて承知していた作品のみであったことに納得もしたのでした。それにしても図書館の学芸員の方は実に親切でした。感謝しています。「やまがた散歩」は残念ながらここには在りませんでした。ネットで調べた限りでは、1972年8月〜2001年1月迄、全339冊(やまがた散歩社・・高橋正司氏編集)のようです。細かな目次などは検索できません。やはり山形県立図書館に行かなければ・・・。

 翌日、丙申堂に、新に釈迦堂が公開されたとの情報が入り数年ぶりに訪れてみました。映画「蝉しぐれ」の撮影の影響でしょうか、大勢の見学者でにぎわっていました。以前と異なり、撮影の状況など丁寧に説明をしており、それなりに楽しめました。

創刊号の表紙 8冊のファイル

 上記写真は撮影許可申請書を提出して、撮影させて頂きました。利用目的として、藤沢周平研究&HP掲載と記入し許可を得ています。(本写真はここ以外では一切使用いたしません)

2007年10月1日記

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