青江松三郎さんの
「秘太刀馬の骨」の継承者
藤沢周平作品の大ファンとお見受けするハンドルネーム「青江松三郎」さんから、以下のような投稿がありました。「用心棒の青江」からみた「秘太刀馬の骨の継承者」に関するご意見。誠に面白い組み合わせです。ご本人も了解されておりますので以下に掲載をします。尚原文には一切の加筆・修正はしておりません。(体裁や改行などはたーさんの判断で行っております)。
現在もなお熱心なファンの間で議論が続いている、『秘太刀馬の骨』の継承者問題。僕はついに真の馬の骨の継承者をつきとめることに成功しました!。(…無論、僕の勝手な説にすぎず、これが正解というわけではありませんが…)
ですが正直なところ、自分でもこの結論には驚きました。きっとこの文章を読んだ人も驚くはずです。多分(笑)。なお、申し遅れましたが、今回、この説を発表する場を与えてくださったたーさんに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。 2006.12.24 青江松三郎 |
えーそれでは本題であるところの、なぜ矢野藤蔵と結論づけたかについて書かせていただきます。
まず理由その1。 ちょっと整理してみましょう。まず、なぜ『馬の骨』がそうしたものだと思われたのか。 無論、このことは「笠松は半十郎に『馬の骨』の正体を伝えていない」という証拠にはなりません。書かなかったけれど伝えていたのかもしれないし、または後日伝えたのかもしれません。しかし、伝えているのであれば、作者はそのことをハッキリ読者に示さなくてはならないのです、本来ならば。 そうでなければ読者は混乱してしまいます。実際僕は「切り放す剣であると言っていた」という唐突な説明に、かなり戸惑いました。説明を読み落としているかも知れないと本を何度も読み返し、どうやら書いてないようだとわかると、今度はその書かれていない部分を脳内補完する。よくあることと言われればそのとおりですが、このポイントで読者にそれをさせるのは随分不親切ではないでしょうか。 まして他の作者ならいざ知らず、あの藤沢周平が、こんな重要なことを読者に知らせないなどということがあるでしょうか。ありえません。もしあるとするなら、そこには明確な意図が隠されているはずです。そしてその意図とは、『馬の骨』の正体隠しにほかなりません。作者はこうすることで、読者の目をたくみに『馬の骨』から逸らしていたのです。事実これ以降、半十郎(と、読者)の興味は「『馬の骨』の継承者は誰なのか」に絞られてしまっています。「『馬の骨』とはどういう剣なのか」という根本的な疑問を置き去りにして。ですから、我々はもう一度、先入観を捨てて『馬の骨』探しを始めなくてはならないのです。 では、そもそも『馬の骨』は存在するのか。笠松六左衛門の話によれば、『馬の骨』は存在します。ならば、『馬の骨』の本当の姿とは何か。七年前に暗殺された望月家老の傷口は、『馬の骨』によるものでした。では、望月家老の受けた傷とは?。もう一つ物語のラストで暗殺された小出家老(赤松織衛ではない)の受けた傷とは?。 長坂権平の言葉を思い出してください、おわかりでしょうか。『秘太刀馬の骨』、その本当の姿とは、刺殺術だったのです。「隠し剣鬼ノ爪」にも似た、目標を一刺しで死に追いやる、まさに一撃必殺の刀法・・・。矢野家先々代当主である矢野惣蔵は、「暴れ馬の骨を断ち、一撃で絶命せしめた剣」をもとに、『秘太刀馬の骨』を編み出しました。しかしそれは「首の『骨を断ち』、絶命せしめる剣」ではありません。本当は「暴れ馬の骨を断ったときのように、『一撃で絶命せしめる剣』」だったのです。 白炭やあさ霜きえて馬のほね |
追記: 「真の馬の骨の継承者」とは… 「馬の骨の本当の継承者」を指したものではなく、「本当の馬の骨の姿と、その継承者」を指したものです。 追追記: ・・・てな感じなのですが、いかがでしょうか(笑)。結構驚いていただけたのでは?。自分でも驚いたのですが、馬の骨の正体をこうしてみると、今までかかえていた疑問がほぼ解決するんですよね。無論これが正解というわけではないんですが、ちょっと自説に酔っている青江でした(笑)。それでは長らくのおつきあい、ありがとうございました。 |
青江松三郎さんのパソコンが直り次第返信可能とします。
たーさんの一言・・・秘剣ではなく、なぜ秘太刀なの・・秘剣と秘太刀はどう違うの。
ご意見その他はとりあえず こちら
迄 青江松三郎さんに転送します。